共通事項
- 同一接合部にボルトと釘を併用する場合の許容耐力は、ボルトの許容耐力と釘の許容耐力の合計(加算)とすることはできない☆☆☆☆☆
- 釘接合部及びボルト接合部においては、木材に割れが生じないように、端距離(端あき)及び縁距離(縁あき)を適切に確保する。
木材の含水状態
釘接合及びボルト接合部において、施工時の木材の含水率が20%以上の場合には、接合部の許容せん断体力を低減する☆☆☆☆☆
(20%以上あると、木材が乾燥したとき釘等にゆるみが生じて接合部の耐力が低下するため)
接合部の木材の含水状態が、使用環境条件下において接合部の金物類に錆を生じさせるおそれのある場合には、耐用年数に応じた防錆処理を施す。
接着接合において、木材の含水率は20%を超えない範囲で、接着される木材間の含水率の差は5%以内とする。
一面せん断接合
2枚の板を重ねてこすり合うせん断面を1面とする接合。
側材の厚さが薄いと、釘の頭が板を打ち抜いてしまうパンチングシアが起こる可能性もある。
釘を用いた木材と木材の一面せん断接合☆
- 有効主材厚:釘径の9倍以上
- 測材厚:釘径の6倍以上
木ねじを用いた木材と木材の1面せん断接合☆
- 有効主材厚:木ねじの呼び径の6倍以上
- 測材厚:木ねじの呼び径の4倍以上
- 木ねじの長さ:測材厚の2.5倍以上
用語
木口(こぐち)
木の幹の縦の軸に垂直な断面。
パンチングシア(punching shear、押し抜きせん断)
釘接合部において、釘頭が合板のような側材を貫通する破壊形態。
針葉樹合板を釘で接合する場合、打込み過ぎにより釘頭部が合板に過度にめり込むと、
終局耐力や靭性が低下しやすくなる。
クリープ
一定の荷重の下で時間とともにひずみが増加する現象。
- 接合部の許容耐力は、クリープ等の変形による影響を受ける。
釘
許容せん断力
釘の木材に対する許容せん断力は、「樹種」「釘の強度」「釘径」等にて算出する。
※「釘の長さ」は関係ない☆
- 釘接合部の許容せん断耐力は、測材として木造を用いる場合より、合板を用いるほうが大きい。
引抜耐力
釘の木材に対する引抜耐力は、木材の「気乾比重」、「釘径」及び「打ち込まれた長さ」に応じて算出する☆
- 木造軸組工法の釘接合において、木材の木口面に打たれた釘を引抜力に抵抗させることはできない。
木ねじ
- 構造耐力上主要な部分において、木口面にねじ込まれた木ねじを、引抜き方向に抵抗させることはできるだけ避ける☆
- 木ねじ接合部は、ねじ部分の影響により、釘接合部に比べて変形性能が小さい☆
- 木ねじ接合において、ねじ切れやねじ山の損傷防止のために、ねじ部に潤滑油を用いてもよい。
ボルト
- ボルト接合部におけるボルトの働き長さは、ボルトを締付けたときに、ねじ山が2山以上ナットから突き出す長さとする。
- せん断力を受けるボルト接合において、座金が木材にめり込む程度にボルトを締付ける。
- せん断を受けるボルトの間隔は、加力方向(繊維方向、繊維に直角方向)によって、異なる☆
- ボルト接合においては、接合部が降伏する前に、木材に割裂、せん断、引ぜい張り等によって脆性的な破壊が生じないようにする☆
ラグスクリュー(コーチボルト)
木材に使用する大型のネジで、頭がナットになっている金物。
- ラグスクリューを木口に打ち込んだ場合の許容せん断耐力は、側面打ちの場合の値の2/3とする☆☆☆☆
×木口に打ち込んだ場合と側面打ちの場合の値は同じである - ラグスクリューはレンチなどで挿入し、挿入時は潤滑油をスクリュー部に用いてもよい。
ドリフトピン
ドリフトピンと呼ばれる棒状の金物を接合部に打ち込んで接合する方法。
- 先孔の径は、ドリフトピンと先孔との隙間により構造部に支障をきたす変形を生じさせないために、ドリフトピンの径と同径とする☆
- 降伏後の耐力上昇は期待できないので、終局せん断耐力は降伏耐力とほぼ同じ値となる☆
・終局せん断耐力:部材が破壊されるときの力
・降伏耐力:部材が降伏するときの力
継手・仕口
継手や仕口は、その種類によって力に対する抵抗性能が異なるので、接合部の応力に応じたものを採用する。
大入れ蟻掛け
梁(横)と胴差(横)との仕口。
追掛け大栓継ぎ(おっかけだいせんつぎ)
断面が大きい梁や桁等の横架材を、材軸方向に継ぐ場合に用いられる。
出典:http://monotsukuri.net/wbt/wbt_tsugite/
接合金物
羽小板ボルト
- 「小屋梁」と「軒桁」☆
- 「柱」と「軒桁」
- 「通し柱」と「胴差」
かね折り金物
「通し柱」と「胴差」の接合に用いられる。
短ざく金物☆
「上下階の柱相互」の接合
「胴差相互」の接合
メタルプレートコネクター
トラスを構成する部材同士の接合。
メタルプレートコネクター接合において、プレート圧入時の木材は、気乾状態である必要がある☆☆☆
山形プレート
「柱」と「横架材(土台・梁)」の接合部に用いられる☆
柱と土台との接合部を山形プレートで補強する個所については、その部分の構造用合板を最小限切り欠き、切り欠いた部分の周辺に釘を増し打ちする☆
くら金物
「垂木」と「軒桁、母屋」の接合に用いられる。
火打金物
小屋組の隅角部の補強。
×隅木と横架材の接合
柱脚金物
玄関の独立柱等の柱脚支持に用いる。
あおり止め金物
「トラス・垂木」と「頭つなぎ及び上枠」の接合
まとめ
なんとなく常識も絡めて解けそうな問題もちらほらあったり。
本番もそうなるといいね。
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同一接合部にボルトと釘を併用する場合の許容耐力は、ボルトの許容耐力と釘の許容耐力の合計(加算)とすることはできない☆☆☆☆☆
- 釘接合及びボルト接合部において、施工時の木材の含水率が20%以上の場合には、接合部の許容せん断体力を低減する☆☆☆☆☆
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木材と木材の一面せん断接合☆☆☆☆
▶釘を用いた場合
有効主材厚:釘径の9倍以上
測材厚:釘径の6倍以上▶木ねじを用いた場合
有効主材厚:木ねじの呼び径の6倍以上
測材厚:木ねじの呼び径の4倍以上 -
釘の木材に対する許容せん断力は、「樹種」「釘の強度」「釘径」等にて算出する。
⇒「釘の長さ」は関係ない☆ -
釘の木材に対する引抜耐力は、木材の「気乾比重」、「釘径」及び「打ち込まれた長さ」に応じて算出する☆
- ラグスクリューを木口に打ち込んだ場合の許容せん断耐力は、側面打ちの場合の値の2/3とする☆☆☆☆