鉄骨構造の一般的な特徴
メリット
強度が高いため、小さな断面の部材で大きな荷重に耐えることができる。
大スパンの建築物が可能である☆
同じ容積の建築物では、構造体の軽量化が図れる☆
工場加工の比率が高く、現場作業が少ない。そのため工期を短縮しやすい☆
粘りがあり、変形能力が高い☆
デメリット
鋼材は不燃材料であるが、骨組は十分な耐火性能は有さない☆☆
剛性が小さく、振動障害が生じやすい。
鋼材
鋼の一般的な性質
弾性限度内であれば、引張荷重を取り除くと元の状態に戻る☆☆
炭素含有量が多くなると、引張強度・硬度は増加するが、ねばり強さや伸び・溶接性は低下する☆☆☆
鋼は熱処理によって、強度などの機械的性質を変化させることができる☆
空気中で酸化し、錆を生じるため、防食を施す必要がある。
引張強さは250~300℃程度で最大となり、それ以上の高温になると急激に低下する☆
ヤング係数
部材の変形のしやすさを係数にしたもの
約2.05×105N/mm2で、常温では鋼材の強度にかかわらずほぼ一定である☆
線膨張係数
温度差で変化する鋼材の長さを算出できる係数
約1.2 × 10−5(1/℃)
鋼材の規格
名称にある数値は、引張強さの下限値(N/㎟)を表す。
⇒ SN400の引張強さの下限値は、400N/㎟
一般構造用圧延鋼材:SS材(Steel Structure)☆
一般的に使用される鋼材
溶接構造用圧延鋼材:SM材(Steel Marine)
溶接性に優れた鋼材
(昔は船舶の溶接で主に使用されていた名残で、船舶の頭文字Mが採用されている)
建築構造用圧延鋼材:SN材(Steel New)☆
性能により A種、B種、C種に分類される。
SS材やSM材が、建物以外に使用されるのに対し、SN材は建造物の耐震補強を目的に作られた構造用鋼
(94年に誕生し、95年の阪神淡路大震災を境に規格が厳格化したということで、比較的新しいのでNなのかな?)
一般構造用軽量形鋼:SSC材(Steel Structure Cold Forming)☆
冷間成形された軽量形鋼。
通常の形鋼に比べて、部材にねじれや局部座屈が生じやすい☆
リップ溝形鋼の溝がアルファベットのCに似ていることからCチャンネルと言われる。
鋼管の規格
一般構造用炭素鋼鋼管:STK材(Steel Tube Kouzou)
構造用として規定されている炭素鋼鋼管。
想定されている用途は、支柱や足場、地すべり抑止杭、基礎杭、鉄塔などの建造物。
建築構造用炭素鋼鋼管:STKN材(Steel Tube Kouzou New)
材質をSN材と同等とした円形鋼管
一般構造用角形鋼管:STKR材(Steel Tube Kouzou Rectangular)
土木・建築等の構造物に使用される角型鋼管(Rectangular:長方形)
鉄骨構造の柱と梁
柱
柱の形式には、形鋼などの単一材を用いた柱のほか、溶接組立箱形断面柱などの組立柱がある☆
柱脚(柱の下部)の形式には、露出形式、根巻き形式、埋込み形式がある☆
鉄骨構造の柱は、鉄筋コンクリート構造の柱に比べ、小さな断面で大きな荷重に耐えることができる。
圧縮材は、細長比が小さいものほど座屈しにくい☆
梁
梁の形式には、単一材を用いた形鋼梁のほか、プレート梁やトラス梁などの組立梁がある。
H形鋼の大梁に架けられる小梁には、大梁の横座屈を拘束する働きがある。
トラス構造☆
比較的細い部材で三角形を構成し、大きな空間をつくることができる構造。
鉄骨構造の構成部材
フランジとウェブ
H形、I形の外側の板がフランジ、中央(腹)の板がウェブ。
筋かい
建物の耐震性を高めるため斜め方向に補強する部材。
主に引張力に働く☆☆
ガセットプレート☆☆
節点に集まる部材相互の接合に用いられる鋼板。
ダイアフラム☆
柱と梁の接合部に設ける補強材。
梁から柱へ応力を伝達するため、仕口部に設ける。
ダイアフラムの板厚は、梁のフランジよりも厚くする。
diaphragm:横隔膜が原義
スチフナー☆
梁のウェブの座屈防止のために設ける補強材
stiffener:かたくするもの、補強材、補剛材などの意味
スプライスプレート☆☆
柱と柱や梁と梁を接合する為の添え板。
ボルト接合の際に部材間の応力を伝達するために設ける補強材。
splice:接合する
フィラープレート☆
厚さの異なる板をボルト接合する際に、板厚の差による隙間を少なくするために設ける部材。
頭付きスタッド☆☆☆
鉄骨梁と鉄筋コンクリート床スラブが一体となるように設ける部材☆
ポイント
英語の語源が分かると意外と理解しやすい。
鋼材に十分な耐火性能はない!
ガセットプレートの意味を変えてくることが多いので注意。
参考テキスト
写真、イラストが多く、僕的には非常にわかりやすいオススメの一冊です。