鉄筋の加工
鉄筋の折曲げ加工
鉄筋の折曲げ加工は、常温で行う☆
鉄筋の加工寸法の表示及び計測は、突当て長さ(外側寸法)を用いて行う。
鉄筋の折曲げ内法直径の最小値は、鉄筋の種類と径によって決まる。
⇒ 鉄筋の種類と径が同じであれば、帯筋とあばら筋の折曲げ内法直径の最小値は同じとなる。
鉄筋末端部のフックの余長の最小寸法は、折曲げ角度が大きいほど短くなる。
180°で4d以上、135°で6d以上、90°で8d以上
鉄筋の組み立て
壁筋、スラブ筋は、鉄筋相互の交点の半数以上を結束する。
丸鋼、あばら筋及帯筋、柱及び梁の出隅、煙突の末端部にはフックをつける必要がある。
⇒ 壁の開口部補強筋の末端部には、フックを付けなくてもよい。
鉄筋のあき
鉄筋相互のあきの最小寸法は、
① 鉄筋の呼び名の数値d×1.5
② 粗骨材最大寸法×1.25
③ 25mm
の3つのうち、最大の数値が最小寸法となる。
〇鉄筋のあき・間隔の最小寸法は、鉄筋の径と粗骨材の最大寸法によって決まる。
×鉄筋相互のあきの最小寸法は、鉄筋の強度によって決まる
「鉄筋のあき」と「鉄筋間隔」は違う!
×鉄筋間隔の最小値は、呼び名の数値の1.5倍、粗骨材最大寸法の1.25倍、25mmのうち、最も大きい数値とした。
鉄筋のあき:隣り合う鉄筋の表面から表面までの最小距離
鉄筋間隔:鉄筋の中心同士の距離
鉄筋の継手
鉄筋の継手には、重ね継手、圧接継手、機械式継手、溶接継手等がある。
継手の位置
鉄筋の継手の位置は、原則として引張応力の小さいところに設ける。
通常の基礎梁主筋の継手位置
上端筋:中央
下端筋:端部
耐圧スラブ付きの基礎梁主筋の継手位置
上端筋:端部
下端筋:中央
〇基礎梁主筋の継手の位置は、上端筋は梁の中央部、下端筋は、梁の端から中央に向かって梁幅分と梁の内法長さの1/4以内の位置に設ける。
〇耐圧スラブ付きの基礎梁下端筋の継手位置は、スパンの中央部とする。
×耐圧スラブが付く基礎梁主筋の継手の位置は、上端筋、下端筋ともスパンの中央部とする。
×基礎梁上端筋の継手の位置は、耐圧スラブの有無にかかわらず梁中央とする。
⇒耐圧スラブは、荷重が下から(基礎下の地面から)上向きにかかるので、地上階の逆の状態で応力が高くなる。
重ね接手
- D35以上の異形鉄筋には、原則として、重ね継手を用いない☆
- 梁主筋の重ね継手は、水平重ね、上下重ねのいずれでもよい。
- 隣り合う継手の中心位置は、重ね継手長さの0.5倍ずらすか、1.5倍以上ずらす。
- 柱主筋の重ね継手が隣り合う場合は、継手位置をずらして設ける。
重ね継手の長さ
- 重ね継手の長さは、鉄筋の種類、コンクリートの設計基準強度により異なる☆☆
- フックの折曲げ角度は関係ない(角度に応じて異なるものではない)
- 重ね継手長さの算出に用いる鉄筋径は、異形鉄筋の場合、呼び名に用いた数値となる。
- 径の異なる鉄筋の重ね継手の長さは、細い方の鉄筋の径によって算出する。
- 梁筋の重ね継手の長さは、下端筋、上端筋とも同じである。
定着
- 柱のスパイラル筋の柱頭及び柱脚端部の定着は、1.5巻き以上の添え巻きとし、末端部にはフックを設ける☆☆☆
- 一般階の大梁の下端筋を柱内に折り曲げて定着する場合は、原則として曲げ上げる。
定着の長さ
フック付き定着とする場合の定着の長さは、定着起点からフックの折曲げ開始点までの距離とする☆
小梁の主筋の定着長さは、上端筋の方を下端筋より長くする☆
梁筋の定着長さは、柱の打増し(ふかし)を行う場合は打増し部分を除いて算定する。
ふかし:コンクリートの躯体を設計時より、余分に大きくした部分
鉄筋のかぶり厚さ
かぶり厚さとは、最外側の鉄筋表面とこれを覆うコンクリートの表面までの最短距離のこと。
- かぶり厚さの確保には、火災時に鉄筋の強度低下を防止するなどの目的がある☆
- D29以上の梁主筋のかぶり厚さは、主筋の呼び名に用いた数値の1.5倍以上とする。
- 基礎における捨てコンクリートの厚さはかぶり厚さに参入しない。
設計かぶり厚さ
最小かぶり厚さに施工精度に応じた割増しを加えたもの☆
最小かぶり厚さ
直接土に接する梁と布基礎の立上り部の最小かぶり厚さは、ともに40mm以上とする☆☆
屋内では、柱と耐力壁の最小かぶり厚さは、ともに30mm以上とする。
屋内の耐力壁は、耐久性上有効な仕上げがある場合とない場合では、最小かぶり厚さは同じ30mmとなる。
かぶり厚さの確保
目地部分のかぶり厚さは、目地底から確保する☆
杭基礎におけるベース筋の最小かぶり厚さは、杭頭から確保する☆
柱の最小かぶり厚さは、帯筋の外側表面から確保する。
大梁の最小かぶり厚さは、あばら筋の外側表面から確保する。×帯筋の外側表面
腹筋を外付けするときの大梁の最小かぶり厚さは、幅止め筋の外側表面から確保する。
ポイント
範囲がかなり広いので、せめて過去問だけでも押さえておきたい。
不適当なものを2つ選ぶ設問があるので注意!!
参考テキスト
写真、イラストが多く、僕的には非常にわかりやすいオススメの一冊です。