鉄骨の加工
けがき
鋼材の表面に切断線やボルト穴の位置などの加工に必要な情報を書き込むこと。
けがき寸法は、製作中に生じる収縮、変形及び仕上げしろを考慮した値とする。
切断
機械切断法、ガス切断法、プラズマ切断法、レーザー切断法がある。
レーザー切断法の適用可能板厚は0.1~25㎜
⇒ 板厚20mmの鋼板の切断を、レーザー切断法で行った。
孔あけ加工
柱の十字形鉄骨に設ける梁主筋の貫通孔は、耐力低下の大きいフランジを避けて、ウェブに設ける。
高力ボルトと同じ呼び径の溶融亜鉛めっき高力ボルトの孔径は、同じ。
ひずみの矯正
素材や組み立てられた部材のひずみを矯正する作業で、熱的矯正法と常温加工法がある。
常温加工法
ローラー又はプレスを使用する。
熱的矯正法
400N/mm2級鋼材をひずみの矯正する場合は、850~900℃に局部加熱して行った後に空冷する。
曲げ加工
常温加工と過熱加工がある。
過熱の場合は850~900℃で行う。
×鋼材の加熱曲げ加工は、200~400℃に加熱して行った。
開先加工
開先の加工は、自動ガス切断、機械加工等により行う。
錆止め塗装
素地調整を行った鉄鋼面は、錆びやすいので直ぐに塗装を行う。
×素地調整を行った鉄鋼面は、素地が落ち着くまで数日あけて錆止め塗装を行った☆
錆止め塗装を行う部材は、原則として塗装検査以外の検査を終了した後に塗装を行った。
塗装しない部分
- コンクリートに密接する部分及び埋め込まれる部分☆☆
⇒ コンクリートに埋め込まれる鉄骨梁に溶接された鋼製の貫通スリーブの内面は、錆止め塗装を行った。
⇒ 柱ベースプレート下面のコンクリートに接する部分は、錆止め塗装を行わなかった。
高力ボルト摩擦接合部の摩擦面。
- 密閉される閉鎖形断面の内面。
⇒ 角形鋼管柱の密閉される閉鎖形断面の内面は、錆止め塗装を行わなかった。
- ピン・ローラーなど密接する部分及び回転または摺動面で削り仕上げした部分。
- 組立てによって肌合せとなる部分☆
鉄骨の建方
仮ボルト
仮ボルトの本数は、強風や地震等の想定される外力に対して、接合部の安全性の検討を行って決定する。
油が付着している仮ボルトは、油を除去して使用する。
建方時に用いた仮ボルトを、本締めに用いるボルトとして使用してはならない。
エレクションピース
鉄骨柱を溶接するための仮止め材。
溶接継手のエレクションピースに使用する仮ボルトは、高力ボルトを用いて全数締め付ける。
建入れ直し
構造部材の位置や角度の誤差を調整すること。
ターンバックル付き筋かいを有する鉄骨構造物は、その筋かいを用いて建入れ直しを行ってはならない。
柱現場溶接接合部に建入れ及び食違い調整機能の付いた治具を使用したため、ワイヤロープを用いず、建入れ直しを行うことができる。
建方精度の測定
建方精度の測定は、温度の影響を避けるため、早朝の一定時間に実施する。
キンク
よれやねじれ等で局部的に損傷した状態。
キンクしたワイヤロープは、直しても強度が低下している可能性が高いため、使用してはいけない。
×玉掛け用ワイヤロープでキンクしたものは、キンクを直してから使用した。
高力ボルト接合
ナットを締め付けることにより部材接合面に圧力が働き、発生した大きな摩擦力によって部材接合する工法。
ナット側の座金は、座金の内側面取り部がナットに接する側に取り付ける☆
高力ボルト接合部のフィラープレートは、両面とも摩擦面処理を行う。
摩擦面の錆の発生状態は、自然発錆による場合、鋼材の表面が一様に赤く見える程度とする。
ボルトの締付けは、ボルト群ごとに継手の中央より周辺部に向かう順序で行う☆
ナット回転法による本締めにおいて、ナットの回転量が不足しているボルトは、所定の回転量まで追締めする。
フィラープレート
厚みの段差を調整するために挿入する薄い鋼板。
ナットの取り換え
以下の場合は、新しいボルトセットに取り替える。
- ナットとボルトが共回りを生じた☆
- 軸周りが生じた
- ナット回転量に異常が認められた
- ナット面から突き出た余長が過大または過少
ポイント
ひずみ矯正も曲げ加工も熱処理は850~900℃。
参考テキスト
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