- 営業開始までの流れ
- 営業保証金
- ☆☆供託しなければならない保証金の額
- 供託できるもの
- 供託する場所
- 供託したことの届出
- 事務所を追加で新設する場合
- 主たる事務所の移転にあたり最寄りの供託所が変更する場合
- 営業保証金が不足した時
- 営業保証金の取り戻し手続き
- 相手方への説明
- 宅地建物取引業保証協会
- 還付
- ポイント
営業開始までの流れ
⇓
欠格要件に該当しないか審査
⇓
免許証交付
⇓
営業保証金を供託する or 保証協会の社員になる
⇓
☆免許権者へ供託所の写しを届け出る(保証協会の場合は協会が届出)
⇓ ※免許交付後3カ月以内に届出
営業開始
⇓
免許権者へ業者名簿登録の申請(事務所設置後30日以内)
※☆☆☆☆☆免許交付後、営業開始前に保証金の措置を行う
営業保証金
宅建業者があらかじめ供託所へ供託しておく保証金のことで、一般消費者が宅建業者との取引で損害を受けた場合に弁済してもらうためのお金。
供託とは?
国の機関である法務局に「供託所」というところがあり、ここにお金を預かってもらうことを供託という。
☆☆供託しなければならない保証金の額
本店・・・1,000万円
支店・・・1ヶ所あたり500万円
例)本店と支店2ヶ所持つ宅建業者の場合
1000万円+(500万円×2)=2000万円分を供託所に供託しなければならない
※☆「案内所」「現地出張所」は事務所に該当しないので営業保証金の供託義務はない
供託できるもの
☆☆☆金銭 or 有価証券(併用可)
✖ 営業保証金の供託は金銭でしなければならない
有価証券で供託する場合は、以下の評価となる
国債証券 | 100% |
地方債証券 政府保証債証券 |
☆☆☆90% |
その他の有価証券 | 80% |
例)1,000万円の保証金が必要な場合
地方債証券1,000万円 + 現金100万円
※☆営業保証金を「有価証券」から「金銭」に変換等する場合は、遅滞なく免許権者へ届け出る必要がある
供託する場所
☆☆☆☆☆☆☆主たる事務所(本店)の最寄りの供託所にまとめて供託する
✖️本店の最寄りの供託所と支店の最寄りの供託所にそれぞれ供託した
供託したことの届出
☆☆免許を受けてから3ヶ月以内に免許権者へ供託書の写しと共に届け出る
届出がないとき ⇒ 免許権者は1ヶ月以内に供託するように催告する
☆それでも届出がないとき ⇒ 免許権者は免許取消ができる
事務所を追加で新設する場合
☆☆☆事前に供託、届出をして、その後、営業を開始する
☆☆☆主たる事務所の最寄りの供託所に追加供託 ⇒ 免許権者へ届出 ⇒ 営業開始
✖ 新たに事務所の営業を開始した後に営業保証金を供託した旨を免許権者に届け出た
✖ 支店の最寄りの供託所に追加供託した
※案内所、現地出張所は事務所にはあたらない ⇒ 供託は必要ない
主たる事務所の移転にあたり最寄りの供託所が変更する場合
営業保証金が「☆☆☆金銭のみ」の場合(保証替え)
☆変更前の供託所に対し、変更後の供託所へ供託金を移すように請求する
✖「金銭と有価証券」で供託していて金銭の部分に限り保管替えをする
営業保証金が「金銭と有価証券」、「有価証券のみ」の場合(二重供託)
1.☆変更後の供託所に、遅滞なく、営業保証金を供託して、
2.変更前の供託所から供託金を取り戻す
※☆広告を出す必要はない
営業保証金が不足した時
営業保証金の還付により供託金が不足することになった時は、
☆☆☆☆☆☆免許権者から通知を受け取った日から2週間以内に、供託所に不足額を供託する
✖「供託額に不足が生じた日」から2週間以内
→ ☆供託所に不足額を供託した日から2週間以内に、供託所の写しを添付して免許権者に届ける
※☆☆これらに違反すると業務停止処分(情状が特に重いと免許取消処分)
営業保証金の取り戻し手続き
取り戻して続きが必要な場合
・一部の支店を廃止したとき
・免許が失効したとき(免許の更新をしなかった・廃業・破産・死亡・合併など)
・免許の取消処分を受けたとき ※☆☆免許を取り消された場合でも営業保証金は取り戻すことはできる
取り戻し手続きの手順
1.☆☆☆☆☆☆☆還付請求権者に対して6ヶ月以上の期間、申し出るべき旨を公告する
2.☆☆広告した旨を免許権者に遅滞なく届け出る
3.期間内に申出がなかったときは営業保証金が取り戻される
広告が必要ない場合
・☆保証協会の社員となった場合
・「取引が結了した日」から10年が経過している場合 ✖ 廃業の日から10年
・二重供託
相手方への説明
宅建業者は、買主等の相手(宅建業者は除く)に対して契約が成立するまでの間に
・☆☆営業保証金の「供託所」とその「住所」
について説明しなければならない(口頭でOK)
✖ ☆供託金の「額」を説明しなければならない
※買主が宅建業者の場合は、宅建業者は還付を請求できないので説明不要
宅地建物取引業保証協会
☆集団保証による消費者保護と宅建業者の負担の軽減を図ることを目的とした、国土交通大臣が指定した一般社団法人。
「ハトマーク」の全国宅地建物取引業保証協会と「ウサギマーク」不動産保証協会の2つがある。
※宅建業者のみを社員(会員)とする
⇒ 協会は新たに社員が加入したとき、退会した時は、直ちにその免許権者へ報告する
※社員(宅建業者)が免許権者に報告するわけではない
※☆☆☆複数の保証協会に重ねて会員になることはできない
※☆保証協会への加入が義務付けられているわけではない
保証協会の必須業務
・☆☆苦情の解決
⇒ 苦情の申出及び解決の結果について、社員に周知する
宅建業者の相手方等から苦情についての解決の申出があったとき
→ 保険協会は、苦情の解決について必要があると認める時は、該当社員に対し、文章もしくは高騰による説明を求め、または資料の提出を求めることができる
・研修業務
・弁済業務
⇒ 社員が行った取引で生じた相手方への債務の弁済
※☆☆☆☆☆業者が社員となる前に生じた債務も対象となる
任意業務(業務には国土交通大臣の承認が必要)
・☆一般保証業務
⇒ 社員が受領した支払金や預かり金の返還債務についての連帯保証業務
・☆手付金等保全事業
⇒ 完成物件の場合の、手付金等の保全措置(8種規制参照)
・研修費用の助成
⇒ 宅建士等に対する研修の実施費用の助成
協会加入から営業開始までの流れ
☆☆☆保証協会に加入する宅建業者は、加入日までに弁財業務保証金分担金を保証協会に納付する
☆加入に支払う分担金(現金のみ)
主たる事務所(本店):60万円
従たる事務所(支店):1ヶ所あたり30万円
例)本店と支店2ヶ所持つ宅建業者の場合、60万円+(30万円×2)=120万円を保証協会に納付しなければならない
↓
☆☆☆☆保証協会は、納付を受けてから1週間以内にその分担金と同額の弁済業務保証金を供託所に供託する
※☆保証協会が供託する弁済業務保証金は有価証券もOK
↓
☆☆☆保証協会は、弁済業務保証金を供託後、その旨を免許権者に届け出る
※☆☆保証協会に加入、または退会した旨を免許権者に報告するのは保証協会
※業者は分担金を支払うのみ。 その後の手続きはすべて協会が行う
事務所を追加で新設する場合
☆☆事務所新設の日から二週間以内に分担金を納付(事後報告でOK)
※この期間内に納付しない時は社員としての地位を失う
弁済業務業務保証金の取り戻し手続き
取り戻して続きが必要な場合
A 一部の支店を廃止したとき
B 社員である業者が社員でなくなった場合(退会)
Aの場合
☆☆☆直ちに取り戻し可能(広告不要)
Bの場合の取り戻し手続きの手順
1.☆保証協会が還付請求権者に対して6ヶ月以上の期間、申し出るべき旨を公告する
2.期間内に申出がなかったときは営業保証金が取り戻される
もしものために! 弁済業務保証金準備金
社員(宅建業者)が倒産などして還付充当金の納付がないというような、もしもの場合のために用意しておく準備金。
保証協会はこの準備金を別途積み立てておく必要がある。
もしものときは! 特別弁済業務保証金分担金
準備金を使っても穴埋めできないような巨額の損失が発生した場合、その損失を社員で分担して負担するための分担金。
特別弁済業務保証金分担金の納付が必要となった場合、協会は社員に対して通知する
→ ☆☆1ヶ月以内に納付しない場合は社員の地位を失う
保証協会の社員の地位を失ったとき
☆☆☆☆☆その地位を失った日から1週間以内に、営業保証金を供託所に供託する
還付
損害を受けた者(宅建業者は除く)は、その取引により生じた債権に関し、宅建業者が供託している「営業保証金の額に相当する額」の範囲内で損害の弁済を受けることができる。これを「還付」という。
✖ ☆該当社員が納付した弁済業務保証金分担金の額に相当する額
※☆☆☆☆☆☆営業保証金の額に相当する額:本店1,000万円、支店1ヶ所あたり500万円
例)弁済業務保証金分担金が150万円の場合
本店:60万円 + 支店:30万円✖️3店舗 → 1,000万円+500万円✖️3=2,500万円
宅建業の取引ではないもの(還付をうけられないもの)
・印刷会社の印刷代金
・☆工事業者の工事代金(内装塗装工事、電気工事)
・☆不動産賃貸の管理委託料
・☆☆広告会社の広告代金
・☆家賃収納代行業務
・宅建業者の従業者の給料 など
営業保証額の還付の流れ
① 客(宅建業者以外)が損害を受ける
② ☆損害を受けた還付請求者(客)は供託所に一定の書式を提出する
③ 供託所は営業保証金を還付請求者に還付する
④ 還付したことにより、宅建業者が供託した営業保証金に不足が生じるので、供託所はその旨を免許権者に通知する
⑤ 免許権者は、当該宅建業者に対して不足額を供託するよう通知する
⑥ ☆☆☆☆⑤の通知を受けた宅建業者は免許権者から通知を受けた日から2週間以内に不足額を供託する
⑦ ☆⑥の供託後2週間以内に供託書(供託した旨の証明書)を免許権者に届け出る
※☆⑥⑦に違反すると業務停止処分(情状が特に重いと免許取消処分)
弁済業務保証金の還付の流れ(保証協会)
① 客(宅建業者以外)が損害を受ける
② ☆☆損害を受けた還付請求者(客)は保証協会へ認証の申し出をする
③ 保証協会が債権について認証する
④ ☆還付請求者は「供託所」に対し、還付請求をする
⑤ 供託所は還付請求者に還付する
⑥ 供託所は国土交通大臣に「還付した旨」を通知する
⑦ 国土交通大臣は保証協会に「還付された旨」を通知する
⑧ ☆☆保証協会は⑦の通知を受けてから2週間以内に還付額に相当する弁済業務保証金を供託所に供託する
⑨ ☆☆保証協会は社員に対して、立て替えたお金(還付充当金)を保証協会に納付するよう通知する
⑩ ☆☆☆☆☆☆☆通知を受けた社員は保証協会から通知を受けた日から2週間以内に還付充当金を保険協会に納付する
→ 納付しないと、社員の地位を失う ※☆保証協会は催告する必要はない
→ 社員の地位を失ってから1週間以内に営業保証金を供託し、その旨を免許権者へ届けなければ事業継続できない
※☆還付請求者は複数の宅建業者と取引をしている場合、営業保証金と弁済業務保証金の還付を同時に供託所に申し立てることができる。
ポイント
☆宅建業者は還付請求者になれない!(平成29年度の法改正)
還付請求者は一般消費者に限定することになりました。業者間の取引は、不動産取引のプロ同士の取引であり、自らの責任で行わなければならないということ。