換気・空調(用語)
成績係数(COP:Coefficient of Performance)
エアコン、ヒートポンプ等の効率を表す数値。
値が大きいほど、効率が高い☆☆☆
⇒ 環境に配慮するには成績係数が大きいルームエアコンを採用する。
ペリメーター年間熱負荷係数(PAL:Perimeter Annual Load)
建築物の外壁、窓等を通じての熱の損失の防止に関する指標。
値が小さいほど省エネルギー☆
⇒ 窓の断熱性能を高めると、ペリメーター年間熱負荷係数は小さくなる。
ペリメーターゾーン
建築の平面で、空調の熱負荷の性状の違いから、外界条件の変化の影響を受けやすい外周部分の こと。建築物の外壁から5m程度。
顕熱(けんねつ)
熱したり冷やしたりする際に物質の状態は変化せず、温度変化のみが起こる際の熱。
潜熱
熱したり冷やしたりする際に温度は変化せず、物質の状態変化のみが起こる際の熱。
冷暖房負荷(熱負荷)
室内をある一定の温湿度に保つため、または目標の温度に冷房、暖房するために必要なエネルギー量や熱量。
⇒ 夏期の最大冷房負荷を抑制するため、建築物の主たる窓面は南北面に配置する。
⇒ 窓システムにおいて、日射による窓部からの熱負荷低減を図るには、エアバリアよりダブルスキンのほうが効果が高い☆☆
外気負荷
外の空気を室内に取り入れる際に発生する熱負荷。
外気負荷(冷暖房負荷)を軽減するために、全熱交換型の換気設備を用いることは有効☆☆☆☆☆
換気・空調(設備・方式)
全熱交換型換気設備
換気によって失われる空調エネルギーの全熱(顕熱=温度と潜熱=湿度)を交換回収する省エネルギー設備。
外気負荷を低減するのに有効☆☆☆☆☆
外気冷房
中間期および冬期において室温が外気よりも高く、冷房負荷が存在する場合に、外気を室内に取り入れて冷房し、冷房用エネルギーを削減する空調方式☆☆
コンピュータ室等に利用。
冷房負荷
冷房時に、ある温度に冷却するために取り除かなければならない熱量。
窓システム
エアフローウインドウシステム
ブラインドを内蔵した二重ガラスの内部に通風することで、エアカーテンの状態をつくりだす方法。室内空気をガラス窓の下部から吸い込ませ、夏には外気に排出、冬には暖かい空気を回収して暖房に利用できるので、大きな省エネ効果が期待できる。
⇒ 日射による窓部からの熱負荷を抑制するために、採用した。
出典:https://www.ecoglass.jp/s_business/pamphlet/pdf/brochure14.pdf
エアバリア
エアフローウインドゥが二重ガラスの内部に通風させるのに対し、シングルガラスとブラインド間に通風させることでエアカーテンの状態をつくり、日射遮蔽を期待する方法。エアフロー方式に比べて建設費を低減できるメリットがあるが、熱環境の性能は落ちる。
ダブルスキン
2枚のスキン(ガラス面)を設け、2枚のスキン内を外気で換気するシステム。
エアバリアより熱負荷の低減効果が高い☆☆
出典:エコ・デザイン | ZEB・省エネルギー | 鹿島建設株式会社
https://www.ecoglass.jp/s_business/pamphlet/pdf/brochure14.pdf
デシカント空調
除湿剤をコーティングしたローターに空気中の水分を吸着させ、除去する方式。
従来の冷却除湿方式の空調に比べて、潜熱のみを効率よく除去することができる。
※デシカント(Desiccant):乾燥剤または除湿剤の意味
室内空気と地球環境・省エネの明日を考えるデシカントメガクール空調システム - アースクリーン東北
夜間外気導入方式(ナイトパージ)
夏期において、外気温が低下する夜間に自然換気を行い、昼間に蓄熱された熱を排除しておくこと。翌日の冷房負荷を軽減できる☆☆
ルーバー
夏期の冷房時における窓面からの日射負荷を軽減するため、南面に水平ルーバーを、西面に垂直ルーバーを計画する☆
Low-Eガラス
特殊金属膜をコーディングしたもので、高い遠赤外線の反射率を持つ。Low-Eガラスを複層ガラスに使用することで、中空層の放射による熱伝達を低減し、高断熱性能を実現させる。
Low-Eガラスを使用した複層ガラスにおいて、屋外側よりも屋内側にLow-Eガラスを用いた方が、暖房時の断熱性が高い☆
※Low-E:Low Emissivity(ロー・エミシビティー)の略で、「低放射」の意味
屋上緑化
建築物の断熱性や景観の向上などを目的として、屋根や屋上に植物を植え緑化すること。 同様に、建物の外壁を緑化することを壁面緑化という。
⇒ 日射による最上階の室内への熱貫流を低減できる〇
⇒ 葉表面からの水分の蒸発散が大きい植物を選んだ方が、冷房負荷の低減が期待できる。
蓄熱槽
暖房用温水、冷房用冷水を一時貯えるための水槽。
氷蓄熱を利用すると蓄熱槽を小さくできる〇
出典:蓄熱式ヒートポンプシステム | 東京都市サービス株式会社
氷蓄熱システム
電力の安い夜間に夏は氷、冬はお湯を作って蓄えておき、昼間の冷暖房に活かす空調システム。
氷蓄熱空調システムのしくみ / ものしり博物館 / 三菱電機ビルテクノサービス
局所空調
大空間や交天井の室において、上部の冷暖房はあまり必要ではないので、居住域(床上1.8m程度)を中心とした局所空調を用いることは、省エネルギーに有効。
天井チャンバー方式
天井内の空間を給気・還気、排煙などに利用する方式。
空気搬送の圧力損失を低減できる。
台数制御
空気調和設備において、空調用冷水ポンプの台数制御による変水量方式を採用すると、搬送動力を低減することができる。
クールチューブ・ヒートチューブ
年間で安定した温度を保つ地中熱を利用し、冷暖房を行う装置。
https://www.kajima.co.jp/tech/eco_tech/energy/contents/a_02_10.html
ソーラーチムニー
太陽光によって高温となった建築物内の空気を煙突(チムニー)状の上部部分から通風を利用し排気される自然換気装置。
「ソーラーチムニーとは」とは何か?|誰でもわかるリノベ用語集 | HAGS (ハグス)
パッシブソーラーハウス
機械を用いずに自然の利用や建物自体の工夫によって集熱・蓄熱をする方式。
ダイレクトゲイン方式
窓から入射する日射熱を直接、床や壁に蓄熱し、夜間時に放熱させる方式。
トロンブウォール方式
ガラスのすぐ内側に壁を設け、その壁を蓄熱体として日射熱を蓄えて室内に放熱する方式。
ライトシェルフ
窓の外側に設ける水平庇により、庇下部の窓面からの日射を遮蔽しつつ、庇上部の窓面から自然光を室内に導く採光手法。
電気設備
電力損失☆☆☆☆☆
送電時の抵抗等で、電力が一部損失すること。
負荷電流が小さいほど、電力損失は少ない。
配電電圧が高いほうが、電力損失が少ない。
⇒ 電力損失を少なくするためには、電圧を高くする!
受変電設備
発電所から供給される高圧の電気を一般家庭や事業所で使用できる電圧まで下げるための設備。
受変電設備において、負荷に合わせて変圧器の台数制御を行うことは、省エネルギーに有効。
受変電設備に高効率変圧器を用いることは省エネルギーに有効。
トップランナー仕様の変圧器をしようすると、変換効率が高まる。
タスク・アンビエント照明
局部照明と全般照明の併用。作業場所では、専用の作業照明(タスク照明)で行い、環境照明(アンビエント照明)は最低限の全般照明で行う。
⇒ 在席率が低い事務所の執務空間で有効。
⇒ 全般照明方式に比べて、室内の冷房負荷は小さくなる。
全般照明の照度は、局部照明の照度の1/10以上とすることが望ましい。
太陽光発電システム
年間発電量が大きくなるのは、方位真南、設置傾斜角度は30度程度で太陽電池パネルを設置した場合。
太陽電池
アモルファスシリコンより単結晶シリコンの方が変換効率は高い。
その他
電気室は、負荷までの経路が短くなるように配置する。
環境に配慮し、洗面器の給湯栓に自動式のものを用いる。
過剰な初期照度を抑制するため、照度センサーを用いて照明制御を行った。
使用電力量を低減するため、自然採光と人工照明を併用した。
給湯
給湯エネルギー消費係数(CEC/HW)
給湯における建物内設備のエネルギー効率を表す指標。
値が小さいほど、エネルギー効率が良い☆☆
エネルギー消費係数(CEC:Coefficient of Energy Consumption)
設備の省エネ性の指標。 (PALは建築物)
コージェネレーションシステム
発電に伴う排熱より電力と熱を生産し有効利用するシステムの総称。
⇒ 年間を通じて安定した給湯需要のある大きな建物に対して、コージェネレーションシステムを採用することは省エネルギー効果を期待できる☆
潜熱回収型ガス給湯器
従来は捨てていた排気熱を利用して、給湯の余熱を行い省エネルギー実現したガス給油器。
排水
雨水利用システム
雨水を集水し、雑用水(トイレ用水、庭への散水)に利用すること。
雨水利用システムにおける雨水の集水場所は屋根や屋上☆☆☆☆
出典: https://www.obayashi.co.jp/chronicle/database/t35-2.html
中水
雨水・排水再利用水のこと。排水再利用設備において、洗面・手洗い排水、小便器の洗浄水等に、浄化して再利用水として使用する☆
その他
CASBEE(キャスビー・建築環境総合性能評価システム)
建築物の環境性能評価システム。地球環境・周辺環境にいかに配慮しているか、ランニングコストに無駄がないか、利用者にとって快適か等の性能を客観的に評価・表示するために使われている。
BEE(建築物の環境性能効率、Built Environment Efficiency)
BEEの数値が大きくなるような環境対策を行うと建築物の環境性能が高まる☆☆
⇒ BEEを高めるため、建築物の環境品質(Q)の数値を大きく、かつ、建築物の環境負荷(L)の数値が小さくなるように計画する。
BEE=Q/L
Quality:環境性能の総合評価値
Load:環境負荷の総合評価値
BMS(ビル・マネジメント・システム)
コンピューターを使った一元的な管理により、建築物の省エネルギー化と建築物の機能の長寿命化を図るシステム。
まとめ
いままで出てきた用語も多いので復習を兼ねて覚えるといいのかな。
どれが、値が高いと良いか、値が低いと良いかを確認する。
▶値が大きいほど良い
▶値が小さいほど良い
- 成績係数(COP)
- BEE(建築物の環境性能効率)
- ペリメーター年間熱負荷係数(PAL)
- 給湯エネルギー消費係数(CEC/HW)
- エネルギー消費係数(CEC)
【電力損失】
負荷電流が小さいほど、電力損失は少ない。
配電電圧が高いほうが、電力損失が少ない。
- 外気負荷を軽減するために、全熱交換型の換気設備を用いることは有効
- 雨水利用システムにおける雨水の集水場所は屋根や屋上